自分の呼吸を見つめるということ

雑記

何よりも1番近くにあり近すぎて見えない、自分自身の「呼吸」を見つめるということ。

「呼吸」と聞くと、スポーツ、ヨガ、白隠禅師、格闘技、世の中にはさまざまな呼吸法が存在しますが、いわゆるフィクションの世界にも呼吸法は存在していて、たとえば漫画の「鬼滅の刃」の中に登場する呼吸法が有名で、ところどころで引き合いに出されていますが、しかし呼吸というのは本当に奥が深いもので、「呼吸」は人間の1つの真理であるように感じます。

「そりゃ呼吸しないと生きていけないでしょ」

「母親の胎内にいる時から呼吸してるじゃん」

「死ぬまで呼吸し続けるっしょ」

など、たしかにそうだと思いますが、1つの真理であると考え至ったのは、”システマ”と呼ばれるロシアの武術があり、創始者であるミカエル・リャブコ(元ロシア特殊部隊)が、システマでもっとも重きとすることは何か?の問いに対して、「呼吸だ」と答えたことでした。

武術であれば、もっとも重きものは、拳の鋭さとか、気を練るだとか、使ってはいけない殺人技とか、もっと”極意”的なものを言いそうなものですが、彼は「呼吸」と答えました。

実際、システマのトレーニングにおいて「呼吸」の鍛錬に時間を費やすことを重視し、大切にしていました(以前、縁あってトレーニングに体験参加させていただいたことがありました)

せっかくの武術なので派手に人を殴り飛ばす練習をしたい…(システマではストライクという強い攻撃がありました) 命の危険がせまった時だけ繰り出すことが許される秘拳を知りたい… しかし何よりも「呼吸」が一番大切だという。

本質はリラックスにあると彼は言いました。どんなピンチな状況におかれても、リラックス状態であれば、冷静な判断を下し、その場を切り抜けて生還できる可能性、生存できる可能性が、ぐっと上がるからというのです。

人は緊張状態になると呼吸が乱れ、心臓の鼓動が早く胸を打つようになります。パニック下においては、冷静な判断をくだすことが難しくなります。リラックスはたしかに必要だと思いますが、僕はリャブコ、つまり…

「戦場で実際に人間の命を殺めたことがある人間」が、「リラックス」と言っていることに大きなポイントを感じます。

漫画や映画の世界ではなく、現実世界の戦場で、本当に”殺人”を犯したことがある人間が、殺らなければ自分が殺られてしまうという、「本気の命のやり取りという修羅場を越えた人間」が放つ「呼吸が最も大切である」という言葉。

命を落としてしまうかもしれない、命を取られるかもしれない極限状態のとき、叩いて鍛え上げた拳でも、磨いた殺人技でも、護身術でもなく、「呼吸を止めないこと」


ある武人は答えました。

敵に囲まれた時はどうしたらいいのか?

「呼吸を忘れるな」


ある偉人が言いました。

「どうしても頭の中が怒りでいっぱいになって、怒って、怒って、怒ってしまったときは、その瞬間こそ、いま自分がどんな呼吸をしているか見つめるべきだ」


何よりも1番近くにあり近すぎて見えない、自分自身の「呼吸」を見つめるということ。

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